NITSインタビュー ~学びのスパイス~

第3回 NITSで働く人たち
―全国の教育委員会からの人事交流者 part2[後編]

独立行政法人教職員支援機構(以下、NITS)では、役職員や教育関係者へのインタビューを通して、教育に関わる知見を広く提供するとともに、より多くの教職員や教職員を目指すみなさんに、NITSについて知り、関心を持っていただくことで、日々のちょっとしたスパイスになればとの想いから、「NITSインタビュー ~学びのスパイス~」を行っています。

最近、日本全国でイベントを開催していて、「どうしたらNITSで働けますか?」「NITSってどんな組織なんですか?」というご質問をいただく機会が増えてきました。そこで第3回は、NITSはどんな人が働いているどんな組織なのかをご紹介すべく、「NITSで働く人たち」と題し、NITSで研修づくりの中核を担う全国の教育委員会からの人事交流者の方々5人にお話を聞きました。Part2の今回は2人の座談会形式で、前・後編の2回に分けてお届けします。今回はその後編です。

今回のインタビュー対象

  • 飯干 専門職員

    教職員の学び協働開発部
    連携推進課

  • 澤田 専門職員

    教職員の学び協働開発部
    研修推進課

――NITSで勤務していて、業務の中で印象に残っていることがあれば教えてください。

飯干

いいことよりも悪いことの方が印象に残っていますね……。NITSに来た令和5年度、探究型研修を始めることとなり、「コア研修」を担当しました。参加者の一人があまり面白くない顔をしていたので、「どうですか?」と訊いてみたら、「飲み会での会話の域は出ていない」と言われて、けっこう考えさせられました。

澤田

印象に残っていることはいろいろありますが、自分は令和7年度から始めた「地域版マネプロ(研修マネジメント力協働開発プログラム(地域版))」ですかね。それまでは、研修の講師をお願いすると、内容はその講師にお任せしていました。でも、この地域版マネプロでは、講師の先生たちと話しながら練っていくということを行うようになりました。「一緒につくっている」という感覚が楽しいと感じながらも、時間はものすごくかかりましたね。

地域版マネプロを運営する澤田専門職員

飯干

同感です。それまでは、「これを言ったら講師の先生に失礼になるかな」と発言を控えていたところがありました。でも、研修をつくっていくうちに、講師の先生側もそういう意見を求めているのではないか、ひいてはそれが参加者のためになるのではないかと思うようになりました。

澤田

講師をその道のプロにお願いすると意見することは難しいかもしれませんが、マネプロというその道のプロがいない新しい取組みだったので、言いやすかったということもあります。

――NITSで勤務していて、大変だったことはありますか?

飯干

常に大変です(笑)。僕も澤田さんも人事交流で来ていてNITS職員という身分ではあるものの、多少は所属元の県に貢献しないと、という思いがあります。NITSに来てからも、県から研修をやってほしいと言われる場合があります。ありがたいことではありますが、大変です。

澤田

自分は、NITSに来た令和6年度に比べて、令和7年度は業務量が増えたことですかね(笑)。

――つくばという土地に来ることになって、環境変化による大変さはありましたか?

澤田

自分は元々茨城県内に住んでいたので、前の職場よりもむしろ家から近くなりました。環境面で悪くなったことは一つもありません。

飯干

自分は単身赴任をしていますが、家から走って通勤できて、職場でシャワーを浴びられて、昼休みにはサッカーできるというのはとてもよい環境だと思います。だからといって、職員全員がサッカーに来るかというと、そうではありません。来たい人が来れる、そういう文化がNITSのよさの一つです。

また、同じように単身赴任で来ている人もいるので、予定を合わせやすいということはあります。先日は一緒に台湾旅行に行きました。

昼休みに体育館でサッカーをする職員たち

澤田

勤務中、誰とでも気軽に話せるのはすごくよい環境だと思います。それを許してくれる雰囲気があります。

――「NITSで働くこと」を一言で表すと?

飯干

「夢中」

今、楽しく夢中で働いているので「夢中」です。研修に対して、こだわってもいいかなと思うようになって、どうこだわるかを夢中で考えるようになりました。NITSの研究職の職員と話す中で、「探究型研修をどう発展させていくべきか」を問うことができたりもしました。自分たちのような人事交流の職員は2~3年で所属元に戻ってしまうので、戻った後にその思いを引き継いで、改善し続けていくことが大事だと思っています。

澤田

「考える」

NITSに来て、考える時間が圧倒的に増えた気がします。もちろん教員の時も考えてはいましたが、その頃は目の前のことしか考えられていませんでしたが、もっと本質的な部分を考えるようになりました。自分は、教員は現場で十分学べると思っていたので、「研修イコール行かされるもの」「研修なんて必要?」と思っていました。NITSに来て研修をつくるようになってからは、「なぜこの内容がいいのか」「何を伝えたいのか」「参加者にどうなってほしいのか」などを考えるようになりました。

また、NITSに来たことで、環境の大事さに気付きました。今まで環境について考えることはほとんどありませんでしたが、参加者に満足していただけるように、研修環境が大事と思うようになり、よく考えるようになりました。例えば、研修室に講義や演習に関係する書籍を置き、誰でも手に取れるようにしておくと、休憩時間に参加者が本を開いて話題にしたり、それをきっかけに対話が生まれたりする場面を目にすることがあります。そうした様子を見て、環境が参加者の学びを広げたり深めたりする一助になっているのだと実感しました。

――NITSで研修に携わる中で、研修に対する思いに変化はありましたか?

澤田

現場にいた頃から少し時間が経っていることもあり、その頃の忙しさや追われている感じを思い出したりもしますが、忘れつつもあります。NITSでNITSマネプロに参加すると、楽しいしいいものだなと思います。でも、それは今自分がNITSにいるから。現場の人はそれどころではないと思うので、参加してどう感じるのかは分かりません。もちろん人によって、刺さる人には刺さると思いますが。

飯干

これまで自分もいろいろな研修を受けてきましたが、そこで私の中に起こったのは、ささやかな変化だったと思います。でも今は、そうしたささやかな変化や気付きが、実践における大きな変化につながると信じています。研修にこだわる仲間がいたことでこのことに気付けたことは大きな収穫です。

――NITSでの経験を、今後どのように活かしていきたいですか?

澤田

それは異動先によって変わります。教育委員会に戻ればNITSで学んだことをそのまま生かせると思います。でも、学校現場に戻った場合には、「校長研修」を担当する中で学び身につけた知識などを活かせる部分はあると思いますし、職場の雰囲気やウェルビーイングの部分を次の職場で活かすこともできるかもしれません。

飯干

「活かす」と言うと、NITSでの経験を過去の一つのまとまりとして固めてしまう感じがあって、それはなんか違うなぁという気はしますが……。

澤田

確かに、これまでのいろいろな経験を「活かそう」と思って取り組んだことはないかもしれません。そこで得たものを広げていく感じでしょうか。

飯干

これまでずっと広島県で過ごしてきた自分にとって、NITSに来たのは一つの転機でした。NITSでの大きな学びの一つとして、「もっと研修について探究したい」と思うようになったということがあります。広島県に戻って、NITSでの学びをすり合わせていくことが、自分にとっての「活かす」かなと考えています。

――本日は、ありがとうございました。