教員資格認定試験 合格者の声
~「私」の教職のかたち~ vol.2
――教員資格認定試験を受験しようと思ったきっかけを教えてください。
高校生の頃は、特別に「これをやりたい」という明確な進路が思い描けず、卒業後は民間企業の事務職に就職しました。働くこと自体は好きでしたが、当時の業務内容を続けていく姿を想像した時に、「何を大切にして働いていきたいのか」と立ち止まって考えるようになりました。
転職を考えて資格試験の準備を進める中で、勉強することの意義や必要性に気づきました。そのうえで、学ぶことの楽しさを人生で初めて感じ、「この楽しさを、子どもの頃にもっと早く知っていたらよかったな」と思いました。こうした振り返りから、「『学ぶ楽しさ』を子どもたちに伝えたい」という気持ちが強くなっていきました。
人と関わることができ、学ぶ楽しさを伝えられる仕事を探す中で、小学校の教員をしている姉が「仕事が楽しい」と言っていたことに衝撃を受け、小学校の教員免許を取得してみようと思いました。
当時インターネットで「教員になる道」を調べたところ、大学(通信制大学を含む)の教職課程を修了する他に、教員資格認定試験に合格するという選択肢があることを知りました。迷いやわからないこと、心配事もありましたが、挑戦してみたいという気持ちの方が大きかったので、一番早いルートで免許を取得できる教員資格認定試験の受験を決めました。
――試験の勉強はどのように進めていきましたか?
まず苦労したのは、まとまった試験対策の情報を見つけるのが難しかったことです。公式ウェブサイトで公開されている過去問題を全て解いてから、各自治体の教員採用試験対策本を買って勉強しました。国語や算数など10教科から選ぶ科目(1次試験の[教科及び教職に関する科目(Ⅱ)]と[教科及び教職に関する科目(Ⅲ)])は、高校時代に使っていた教材や、市販の参考書で復習しました。
大学で教職課程を学んでいない私にとって、教職専門科目に関する内容については初めて学ぶことばかりだったため、特に時間をかけてゼロから丁寧に学習しました。主に学習指導要領解説や教員採用試験の教材を活用して知識を習得しました。
また、論述式試験や口頭試問(面接)に備えて覚えたことを自分の言葉で説明できるようにしたり、インターネットなどで教育時事に関ある情報等を集めて自分の考えを文章にする練習もしたりしました。
試験勉強はやりたいことを叶えるための勉強だったため、前向きに取り組むことができました。一方で、働きながらだったため、勉強時間が限られ、通勤の電車の中や平日の夜、土日を使って勉強をしました。
学ぶ量は多いですが、教員資格認定試験の勉強を翌年受けた教員採用試験にも活かすことができ、教育現場で必要となる様々な知識を幅広く身に付けることができたと思います。
――合格後、教員になるまでどんなことを考えていましたか?
教員資格認定試験に合格した後は、どのような人たちと出会い、実際の学校でどのように働くことになるのか、不安よりも楽しみの方が大きかったことを覚えています。
合格した時点では、「免許を取得すればそのまま教員として働くことができる」と思っていました。しかし調べる中で、公立校で正規教員として採用されるためには、自治体の教員採用試験を受ける必要があることを知りました。
そこで、4月から教員として働く方法をより詳しく調べ、ある自治体の臨時的任用教員として働くことにしました。私は教育実習の経験がなかったため、授業づくりや学級経営について知識を深める必要がありました。そこで、授業の進め方や子どもとの関わり方について書かれた書籍を読み、自分なりに準備を重ねながら現場に入っていきました。
その後、臨時的任用教員として1年間勤務し、子どもと過ごす日々の中で多くのことを学びました。並行して教員採用試験を受験・合格し、現在の自治体で働き始めることができました。
――教員になってよかったと思うことはありますか?
一番は子どもたちと過ごす時間がとにかく楽しいことです。毎日色々な発見があって、子どもたちからたくさんのエネルギーをもらうことができます。子どもたちの成長が自分のやりがいや楽しさとして実感できることはすごく幸せです。楽しい時間は早く過ぎると言いますが、教員になってからは毎日があっという間です。また、子どもたちと過ごす中で一緒に学んだり、自分自身が成長したりできることも魅力です。子どもたちや保護者の方など、多くの人と関わることができるので、多様な考え方や感じ方に触れたり、人との向き合い方や問題解決の方法を試行錯誤しながら学んだりすることができます。
――子どもと接する中で、どんなところに「楽しさ」を感じますか?
特に楽しいことは、子どもたちの「変化」に立ち会える瞬間です。手を挙げて発言するのが苦手だった子が勇気を出して手を挙げられるようになったり、苦手だった単元が理解できるようになったり。そうした小さな前進が、教室の中だととてもわかりやすく現れます。
昨日までできなかったことを翌日にできた子がいて、「どうしてできたの?」と聞くと、授業でうまくできなかったことが悔しくて、「家に帰ってから自分で練習した」と話してくれました。
私が褒めたからというよりも、「自分でできた!」という実感が子どもたちの中から生き生きとあふれ出て、表情がぱっと輝きます。そんな時に感じるエネルギーは大きく、この仕事を選んでよかったと心から思います。
――実際に教壇に立って大変なこと、そして前職の経験が活きていると感じる瞬間はありますか?
子どもたち一人ひとりに合わせて関わり方を考えたり、限られた時間の中で保護者の方との信頼関係を築いたりと、日々の業務には悩むことが多くあります。学習指導も生活指導も「正解」がないため、試行錯誤しながら進むことの連続です。上手くいかないと頑張りすぎてしまう性格なので、家に帰ってからもつい仕事のことを考えてしまうことがあります。
そんな中でも、前職での経験が「役立っている」と感じる場面が多くあります。事務職で培った電話対応や事務処理のスキルは、保護者の方とのやり取りや学級経営の基本的な業務の大きな助けとなっています。また、パソコン作業にも慣れていたため、資料作成や掲示物づくりなどの現場で求められる事務作業にスムーズに対応できています。さらに、自分の目標をしっかり持って努力する大切さを、前職での経験を通じて学んでいたからこそ乗り越えられたこともありました。
――教員として働く中で、支えになっているものは何ですか?
これまでずっと、周りの人たちに恵まれてきたことが大きな支えになっています。
今振り返っても、全てが初めてで何も分からない状態で始まった最初の小学校での経験、初めての授業、初めての担任、教員採用試験の勉強、正規の教員として働き出した日々、大変なことが多い中でもそれに勝る楽しさを実感でき、自分が選んだ道を好きになれる毎日を過ごすことができています。そして、それは一緒に働く人たちにこれまでずっと恵まれてきたからだと思います。たくさん時間をかけて丁寧に教えてくださった先生、忙しい中でも親身に話を聞いてくださった先生、そして「こんな先生になりたい」と思える素敵な先生方がいつも近くにいてくれました。そうした出会いに支えられながら働いてきたことは、今も私の大きな力になっています。
――最後に、教職を目指すか迷っている方・教員資格認定試験への挑戦を考えている方へ、メッセージをお願いします。
教員の一番の魅力は、やりがいを感じることができることです。自分の頑張ったことが、子どもたちの成長として間近で実感できるだけでなく、人との向き合い方や問題解決のために試行錯誤することで、教員自身も一人の人間として成長できます。
一方で、長時間労働や業務過多など、大変なことも多い仕事です。どんな仕事に就いたとしても、大変なことは必ずあるでしょう。でも、忙しさや辛いことがある中で、少しでも楽しさを感じたり、頑張りたいと思ったりできる教員のような仕事は、世の中にそう多くはないと私は思います。変化を恐れず、現状に固執せず、思い切って行動した先に、素敵な人や仕事との出会いがあると思います。
本記事は、インタビュー当時(令和8年)の内容です。