令和8年10月22日
NITSニュース第261号
はじめに
『万葉集』に、筑波嶺に登った旅人の歌があります。尾花の散る田、鳴き渡る雁、白波の立つ淡海。見渡すかぎりの秋の色に、長く胸に積もっていた旅の憂いがやんだ、と詠まれています。高い所から遠くを見晴らすうちに、抱えていたものがほどけていく。
今月号の「学びの交差点」では、「探究を支えるグループファシリテート力協働開発プログラム参加者の声」をお届けします。演習や対話を重ねる中で、何に気づき、どのような見方が生まれたのか。その言葉が、対話やファシリテートの在り方について考えるきっかけとなれば幸いです。
今月の目次
1. 学びの交差点
探究を支えるグループファシリテート力協働開発プログラム参加者の声
2. お知らせ
1. 学びの交差点
探究を支えるグループファシリテート力協働開発プログラム参加者の声
ファシリテーターとしてどう在りたいのかを考える
秋田県総合教育センター教科・研究チーム 指導主事 田口峰子
私にはこれまでもファシリテーターにより学びを支えていただいた経験や、ファシリテートについて学ぶ機会がありました。それらを通してファシリテートに関する知識をもち、業務に取り入れてきたつもりでした。しかし、本プログラムに参加し、「ファシリテーターとしてどう在りたいのか」を考えたことで、私がこれまで捉えていたものは行動目標のみだったということに気付かされました。本プログラムでの対話や実践記録の読解等を通して、どのような姿勢・考え方で臨むかという心の準備やファシリテーターの在り方等の抽象的な意識目標を掲げる大切さを学びました。そして、自分の目標とするファシリテーター像を設定してみると、自分の軸が決まり、達成する手段として知識や技術が不可欠であることを実感しました。
本プログラム3日目からは実践編として、他研修のファシリテーターを務めました。私は担当するグループにおいて、心理的安全性を保ったり、問い掛けを工夫したりと学びの場を調えながらも、常に自分の在り方を意識していました。そのためか、研修参加者による実践や探究への関心が一層高まり、一人一人の探究に寄り添い、その結果を一緒に引き受けたいという強い気持ちが芽生え、共に第一歩を踏み出せたように感じました。
本プログラムを通じて得た自分の軸を大切に、今後もファシリテーターとしての在り方を考え続けるとともに今回の学びを日常業務に活かしながら、参加者の主体的な学びに寄り添っていこうと思います。
対話を楽しむ
宮城県総合教育センター教育推進部教職研修班 主査 佐藤翠
5日間のプログラムでは、「探究的な学びとは?」「学びを支えるとは?」「ファシリテーターの役割とは?」など、次々と投げ掛けられる問いに対して、答えの出ないまま、ひたすらグループで対話を続けました。最初は誰もが「この対話はどこに行きつくのか」「もっと明確な答えが欲しい」という不安や焦りを感じていたと思います。
しかし不思議なことに、どんな対話からも何かしらの気付きが生まれるのです。次第に、「分からないこと」や「答えの出ないこと」への恐れが薄れ、「どんな対話からどんな気付きが生まれるのだろう」と、対話そのものを楽しむ気持ちに変化していきました。この意識の変化があったからこそ、実践の場においても、参加者と共に考え、対話から生まれる気付きを共に楽しむ「伴走者」の気持ちで臨むことができたのだと感じます。もしこのプログラムが、「ファシリテーターのスキル」を一方的に学ぶものだったら、場を上手にコントロールする手法にばかり意識が向き、自分本位の視点からしか研修を振り返ることができなかったと思います。
「ファシリテーターはどう在るべきか」という問いの答えは未だ模索中です。しかしこのプログラムを通して、ファシリテート力を向上させるためには、共に学び続けていくことができる仲間の存在が不可欠であるということを実感しました。5日間寝食を共にしながら対話を重ねたホームグループのメンバーは、もはや戦友のように感じています。入念なご準備のもと、共に考えながら学びを支えてくださった教職員支援機構の皆様、対話を通して豊かな気付きを促してくださった全国の先生方に、心から感謝を申し上げます。
2. お知らせ
新着動画紹介
当機構では、学校現場の教職員等に多様な研修機会を提供することを目的に、様々な動画コンテンツを提供しています。令和8年度10月中旬までに掲載された新着動画を6本紹介します。
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プレコンセプションケアについて:校内研修シリーズNo.188
講師 こども家庭庁成育局 母子保健課長 田中彰子 -
突然死!目の前の命をどう守りますか ~ASUKAモデルと小学校からの救命教育の推進~:校内研修シリーズNo.189
講師 公益財団法人日本AED財団 理事 桐淵博 -
その避難訓練で命を守れますか?:校内研修シリーズNo.190
講師 慶応義塾大学環境情報学部 准教授 大木聖子 -
ESD持続可能な開発のための教育:校内研修シリーズNo.191
講師 宮城教育大学教育学部 教授 市瀬智紀 -
平和、人権、国際理解、協力、基本的自由、グローバル・シチズンシップ及び持続可能な開発のための教育に関する勧告(2023年ユネスコ教育勧告):校内研修シリーズNo.192
講師 聖心女子大学 教授 永田佳之 -
学校環境衛生活動における日常点検の在り方:校内研修シリーズNo.193
講師 文部科学省総合教育政策局健康教育・食育課 健康教育調査官 鈴木貴晃
NITS職員実践記録
令和6・7年度にNITSに在職していた専門職員、特別研修員4名の実践記録を「NITS戦略 ~新たな学びへ~」ページのNITS職員実践記録に新たに掲載しました。※所属・職名は執筆当時のものです。
- 「教育行政リーダー研修」を、探究する。 (PDF:1.02MB)
- 探究型中央研修 特定課題探究研修(生徒支援)に向けて (PDF:809KB)
- 教職員の探究を支える教職員研修の創出を目指してⅡ (PDF:377KB)
- 食育指導者養成研修から学んだこと (PDF:259KB)
研修マネジメント力協働開発プログラム(地域版)(通称:マネプロ(地域版))
NITSでは、「研修観の転換」に向けて学び合うコミュニティが、教職員研修を実施している各地の組織(教育センター、機構、教職大学院、学校等)の中で形成され、つながっていくことで、各地域における教職員研修が持続的に深まっていくことをめざし、マネプロ地域版を全国7ブロックにおいて実施しています。
【参加者募集中】
- マネプロ東海北陸版(三重会場)
- 日時:令和8年11月13日(金曜日)13時~16時
- 会場:三重県総合教育センター
- 申込締切:令和8年10月23日(金曜日)
- マネプロ九州版(オンライン)
- 日時:令和8年11月24日(火曜日)13時~16時
- 申込締切:令和8年11月10日(火曜日)
- マネプロ北海道版(オンライン)
- 日時:令和9年1月13日(水曜日)13時~16時
- 申込締切:令和8年12月18日(金曜日)
参加費無料、推薦不要ですので、お気軽にご参加ください。上記以外の地域の取組についても、「研修観の転換」に向けた「学び合いのコミュニティ」形成支援事業ページの各地域の実施についてから、ご確認いただけます。
教育行政リーダー・ダイアログ
教育行政リーダー・ダイアログを、オンラインにて、以下の日程で開催予定です。それぞれの実践や課題意識を持ち寄り、「何を大切に教育行政に向き合っているのか」をともに問い直すことをめざします。
教育委員会版
- 第1回:令和8年10月2日(金曜日)9時~12時 ※実施済
- 第2回:令和9年1月18日(月曜日)14時~17時
教育センター版
- 第1回:令和8年11月27日(金曜日)9時~12時
- 第2回:令和9年2月1日(月曜日)9時~12時
参加費無料、推薦不要ですので、お気軽にご参加ください。詳細は、ウェブサイトに随時掲載する実施要項等をご確認ください。皆さまのご参加をお待ちしています。
次号は令和8年11月20日発行予定です。主な内容は、「教育行政リーダー・ダイアログの参加者の声」を予定しています。